Pride of mind


Shoxx #38, 3/1996, p. 117
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Pride of mind
Photography & Interview: Reiko Arakawa

――まず、プライド・オブ・マインドの結成から教えてください。
福山敦司:結成は92年の9月位で、活動しだしたのは93年の春位から。 結成時は僕とヴォーカルの彼の2人で、その後、伊藤くんと出会いまして、93年の3月のファースト・ライヴの時には、この3人で。
――福山くんと春名くんは、どういうキッカケで知り合ったの?
福山:僕のツレのツレで、伊藤くんは全くの他人で、僕の友達のライヴの打ち上げて、知り合いました。
――ヴォーカル、ギター&パーカッション、キーボード&パーカッションという特殊なバンド形態だけど、どうして、こういう3人編成になったの?
福山:それは、前のバンドを結成する位まで遡っちゃうんですけど、生の編成になるとメロディ楽器って、ギターだけになってくるじゃないですか?それじゃ表現しきれない、もっといろいろやりち!と思って、シンセ・ギターと、ギターとまぜて、生のバンドをやり始めたんですよ。 そのうちに、同期演奏ってことになって……そうなっていくうちに、シンセ・ギターが要らなくなってきて、結局そうなったら、ドラムの音もいろいろ変えたるするようになってきて、自然な流れで、こういう編成になったんです。
――音を作っていく上での、必要なもの、要らないものの結果である、と。
福山:そうですね。でも今後、生のドラムを入れてやってみたいなっていう考えも別にあるんですけどね。
――プライド・オブ・マインドとしては、活動しはじめて、3年弱になるわけだけど、バンド・サウンドの変化というのは?
福山:作曲は、自分がメインでやってるんですけど、3人とも音楽の幅が広いんで、いろんなものを取り入れながらやってるんです。 もしかしたら、この3年の間で変わったと思う人もいるかもしれないけど、その変わっていったものの全て、元々、自分や3人の中にあったものなんです。
――個人的に好きな音楽はどの辺んおかな?
春名真樹:僕はペット・ショップ・ボーイズとか、デペッシュ・モードとか。最近聴き出したんですけど、平沢進さん。 あとはクラシックから、森昌子まで(笑)。
――何か楽器はやってたの?
春名:楽器はピアノを。基本的にバンドに関わる前まで、あんまりバンドって知らなかったんです。 今でも、その畑じゃないと自分では思ってるんですけど、ただ音楽が好きで……アタマの中で、想像してたような音楽を作る人と出会ったので、歌を歌おうって。 歌うこと自体も好きなんで。だから、バンドが好きでって感じではないし、聴く音楽もすごく狭いんです。 やっぱり聴くのはクラシックとか、民族音楽かな。メンバーにすすめられて、ペット・ショップ・ボーイズを聴いたりして、こんなのもあったのか……って。
――ちなみにクラシックは誰が好き?
春名:ちょっとミーハーですけど、ショパンとか、チャイコフスキー。わりとロマン派が好きです。
――伊藤くんは?
伊藤まさのり:僕は、打ち込みっていうのは、そんなに聴かないですけど、強いていうならピチカート・ファイヴかな?あとは、ジャミロクワイとか、レニー・クラヴィッツ。 今のUKの、メンズウェア、オアシス、ブラー。個人的には生のサックスが好きなんで、キャンディ・ダルファーとか。 打ち込みでやり始めたのは、このバンドが初めてなんですよ。それまで、ずっと生のバンドでやってて。
――生のバンドでキーボード?
伊藤:いや、キーボードじゃないんですよ。歌ったり、ベースやったり、ギターやったり。
――誘われるキッカケになったパートは?
伊藤:ヴォーカルだったんです。だから今、コーラスっていうよりも、サブ・ヴォーカルっていう形でやってます。 このバンド初めてパーカッションを購入して始めました。
――そうだったんだ。じゃあ、福山さんは?
福山:好きなバンドを言い出すと、キリがないんで、一言でいうなら、自分が音楽を聴き出した、80年代洋楽全般ですね。 UKからアメリカ、民族音楽、クラシック、わりと何でも聴いてました。でも、最近のはあんまり知らないかなぁ。 この前、平沢さんのを彼からすすめられて、けっこうハマりました。
――プライド・オブ・マインドのアルバムを聴いて、感触的に近いなぁって思ったのは、ウルトラヴォックスかなぁ?
福山:その辺の全盛の時代ですよね?
――そうそう。で、話はちょっと変わるんだけど、皆のメイクとか衣装について、どういう意識でやってるのかを聞きたいんだけど。
春名:バンドとしてメイクっていうのは、もう何の違和感もなく、曲があって、このメイクがあって、この衣装があって……もうセットになってるもの。 生まれてきた時に、初めて見たものを、母親だと思うような感覚で、初めて活動したバンドが、こういう形態だったから、うまく言えないですけど“化粧をしている″っていうイメージじゃないんですよ。
伊藤:プライドは、バンドっていうよりも、映画とか舞台みたいな感じなんです。 タレントじゃないですけど、普段のナチュラルな自分があるとしたら、メイクするのは、その舞台立つからステージ・メイクっていう感覚で捉えてる。 別にそれが終われば、普段の伊藤まさのりに戻るし。ステージのコンセプトによっては、ナチュラルなメイクの時もあれば、きわどいメイクもしてるから、雑誌に載った自分がステージにいるとは限らない。
――確かに取材前に、今までのライヴ写真を見せてまらったけど、メイク、衣装共に雰囲気の違うものが多い。
伊藤:それでメイクだけじゃなくて、髪型も変えたり、身体全体もトレーニングして、見せたい体型にしてるし……だから、バンドしてるっていうよりも、ショウを見せてるって感じなんですよ。
福山:とりあえず、このバンドを始める時も、前のバンドもそうだったんですけど、ライヴがメイクの活動っていうのが、自分にとって大きくて……だから、メイクがどういうっていうのじゃなくて、全体的な見た目とか、イメージが大事。 別にメイクだけにこだるわけじゃないし、衣装とか……もちろん自分だけじゃなくて、3人のバランスとか、ステージ・セットとか、総合的な視覚的要素の一部として、メイクも入ってるだけ。 元々、そういうステージをやりたくて、バンドという形をとってるだけで、別にミュージシャンとか、バンドっていうことにこだわるつもりもないし、伊藤くんが言ったように、ライヴは、ひとつのショウだと思ってるから、いろんな角度からお客さんにアピールしたくて、やってるだく。
――なるほど。では、初音源としてCD『SYSTEMS OF ROMANCE』はどういう経緯でリリースされたものなの?
福山:ソング・バード・レーベルっていうのは、大阪ミューズ・ホールのレーベルで、ミューズの人から“CDを出してみないか?”っていう話をもらったんですけど、最初は待って下さいって話をしたんです。 理由は、その時点で自分達がやってること、特に曲を部分で満足してなかったんで。 それから、常にアタマのどこかにCDことをおいて、新曲が何曲か出来た時点で、そろそろ最初の形っていうのを出してもいいんじゃないか?っていう状態になったんで、お願いしますって。
――ファースト・アルバムに入れたかった自分達の形っていうのは、どういうもの?
福山:う~ん……バンドの持ってる音楽性のバリエーションですね。
――作ってみて特に感じたこととか、プラスになったと思う部分はある?
春名:今まで自分の歌に関しては、歌だけのイメージで捉えた部分があったんですよ。 でも、全ての音と重なりあって、ひとつなんだっていうことを強く感じました。
伊藤:音のバランスの大切さを感じましたね。スケジュール的にもキビシイ状態の中で、こだわったんですけど、やっぱり結果としての作品を聴くと、こだわって良かったんって思います。 次はもっといいのが出来るんじゃないかな?っていう自信がつきました。
福山:昔、デモ・テープを作って、レコーディングは経験してたんですけど、大嫌いだったんですよ。 でも今回は、そのレコーディングでの楽しみ方のひとつが見えたんで、それがプラスになりましたね。
――これからの活動が楽しみだけど、96年はどんなことをやっていきたいと思ってる?
福山:全てとは、言わないですけど、今のライヴハウスに来てるコ達って視野が狭いと思うんですよ。 だから音楽やライヴとかの、カッコよさのパターンが、沢山あるってことを提示していきたい。 世代が違うから知らないものがあって当然なんですけど、僕らがキッカケで、もっと広いところを見て欲しいと思うんですよ。
――じゃあ、そのキッカケになるような事柄を、個人的な趣味も含め、いくつか上げてくれる?
春名:マックです。
伊藤:僕は、まずファッションですね。あとはSMAPとか武田真治かな?
福山:まず音楽はデペッシュ・モード、マーク・アーモンド、U2、ミッション、ペット・ショップ・ボーイズ、ベルリン、リアル・ライフ、ポリス、デフ・レパードからヴァン・ヘイレン、ボン・ジョヴィ……画家だったらレンブラント。あとリンゼイ・ケンプに、写真家だったら、スティーヴ・アーノルド。日本の版画家だったら…(と、延々と続く)。

ライヴ・スケジュール 1月27日=目黒鹿鳴館、2月24日=横浜7thアヴェニュー、3月8日=目黒鹿鳴館
●問=アップライズ(☎06・316・1817)